日本ラグビーの底力を、魅せてやれ。
6/22開幕直前、太田チェアマンにカップ戦の概要&見どころを聞く(前編)

6月22日、トップリーグカップ2019が開幕する。今季はワールドカップシーズンということもあり、6〜8月に開催、さらにトップリーグ16チームにトップチャンレンジリーグの8チームが加わり、計24チームで争われることになった点など、昨シーズンとはかなり異なるかたちで行われることになったカップ戦の概要、見どころなどを、この5月に就任したばかりの太田治トップリーグチェアマン(以下、CM)にQ&A形式で聞いてみた。

5月15日に就任した太田治チェアマン photo by Kenji Demura
5月15日に就任した太田治チェアマン
photo by Kenji Demura

──カップ戦の日程を教えてください。

太田CM「6月22日に開幕して、7月20日までプール戦を5節戦った後、8月4日に準決勝、8月10日に決勝戦となります」

──昨シーズンよりも参加チーム数が増えて、総勢24チームによってカップ戦王者の座が争われるようですね。

太田CM「トップリーグ16チームにトップチャレンジリーグの8チームを加えた計24チームを4プールに分けて、それぞれ総当たり戦を行い、各プールの首位のチームがプレーオフの準決勝に進むことになります」

──4つのプールのチーム分けはどのように行われたのでしょうか。

太田CM「ワールドカップ方式を踏襲して、昨シーズンの成績によって24チームをAからDまで6バンドに分けて抽選を行い、どのチームがどのプールに入るのかを決めました」

──開催時期が6〜8月になったのは、やはりワールドカップの影響でしょうか。

太田CM「そうですね。今季ならではの特別なかたちです。とにかく今年は自国開催ワールドカップを盛り上げるということを一番に考えなければいけない年。トップリーグもW杯が終わった後、来年1月から16チー厶による総当たり戦が行われることが決まっています。春シーズンに大会がなければ何も公式戦がなくなってしまうので、各チームの要望にも答えるかたちで、この時期にカップ戦を行うことにしました」

──24チームにした理由は?

太田CM「我々は、このカップ戦に際して『日本ラグビーの底力を、魅せてやれ。』というキャッチフレーズを掲げているのですが、トップリーグ、トップチャレンジリーグ全体でのレベルの底上げ、経験値を上げていくということを意図して24チームが参加するかたちにしました。我々としても、一度、トップリーグとトップチャレンジリーグを合わせた大会をつくって、いったいどのくらいのレベル感なのかを掴みたかったですし、ファンの方々にも知ってもらいたかった。
その一方で現在、2022年以降のトップリーグの発展的改革に関して論議を進めている段階ですが、その将来像の中でチーム構成などの参考にしたいという意図もあります」

──トップリーグとトップチャンレンジリーグのレベルの差はどのように考えていますか?

太田CM「昨シーズンの入替戦では、三菱重工相模原とNTTドコモというトップチャレンジリーグのチームがトップリーグチームを破って、昇格を果たしています。その前のシーズンも日野が入替戦で勝って昇格していますし、コカ・コーラ(TL)と三菱重工相模原(TCL)は引き分けでした。そういう例から言っても、トップチャレンジリーグ側の実力が上がっていることは間違いないでしょう」

──チームサイドもカップ戦のアイデアには概ね賛成と考えていいのでしょうか。

太田CM「もちろんです。今年はワールドカップイヤーなので何もやらないという選択肢もあった。
ただ、各チームの意向としては、何もやらないのは困るというものでしたし、チーム強化という観点から、ワールドカップへの影響の少ない春シーズンに、選手たちのウェルフェアも考えて、プール戦で5節をしっかり戦い、プレーオフを2節というかたちに落ち着きました」

──各チームの、カップ戦へのモチベーションも大きい。

太田CM「特にトップチャレンジリーグのチームは、モチベーションがすごく高いようです。実際にトップリーグチームと公式戦を戦うことで、上とつながっているという意識の中、自分たちに足りないものが見えてくる。追いつくためにはこういうところが必要なんだという皮膚感覚みたいなものを掴んでもらって、リーグ戦に入っても上位とつながっているという意識の中でモチベーションを高く維持してもらえるのでは。
もちろん、トップリーグチームにとっても春の公式戦ということで、一気にレベルアップするきっかけとなる。春(カップ戦)のタイトルを取って、ワールドカップを迎えて、終わった後のリーグ戦にどうつなげていくか。長期のチームづくりという意味でも重要でしょう。結局のところ、真剣勝負の実戦をしていくことがチームとしても個人としても一番の成長につながることなので」

聞き手&構成:出村謙知

昨季はトヨタ自動車がカップ戦初王者に輝いた photo by Kenji Demura
昨季はトヨタ自動車がカップ戦初王者に輝いた
photo by Kenji Demura